後姿の淋しい男に
かける言葉は見つからない
肌を寄せるには冷たすぎて
ただだまって歩いていた
一番電車に乗りましょうか
それともこのまま別れましょうか
二人で居ればなおさら淋しい
夜明けの裏通り
後姿の淋しい男は
言葉でひたすら笑っていた
安い酒場でほらを吹いて
酔える限りに酔いどれた
誰もいない夜空の下で
声を上げてうたおうか
朝が来るまでこのままずっと
抱き合って眠むろうか
後姿の淋しい男は
その背中でさえ笑ってみせる
使い古したコートの様に
淋しさも生きがりも色あせた
生きることは生きつづけること
哀しいくり返し
※二人で居ればなおさら淋しい
夜明けの裏通り